サンフランシスコを舞台に、職務遂行のためには暴力的な手段も辞さないアイルランド系のハリー・キャラハン刑事が、さまざまな殺人犯との攻防を繰り広げるアクション映画シリーズ。
組織と規律から逸脱していくアウトロー的、かつ直情径行で信念を貫徹する性格の主人公をクリント・イーストウッドが演じた。主人公キャラハン刑事の使用している銃は S&W M29という、本来は狩猟用に開発されたものである。装填される弾丸は.44マグナム弾(直径11.2mm)。
第1作は、1970年代のハリウッド・アクション映画を代表する作品の一つであり、ダーティー・ヒーローものの典型と見られている。この作品でドン・シーゲルは1970年代のハリウッド・アクション映画を牽引する存在となった。また、イーストウッドもこの作品でスターの地位を確立、自身の最大の当たり役となった。
その後に撮影されたアクション映画にも影響を及ぼすほどであった。度々シリーズ化され、続編4作品『ダーティハリー2』 、『ダーティハリー3』、『ダーティハリー4』(これのみイーストウッド自身が監督)、『ダーティハリー5』が製作された。
Dirty Harry (1971) / ダーティハリー
劇場的連続を好む殺人犯スコルピオ(アンディ・ロビンソン)は、ホテルのプールで泳いでいる女性をビルの上から狙撃して、逃げ惑う大衆を楽しんだり、10歳の黒人少年を殺害したあと、さらに少女を誘拐し身代金を要求する。市は10万ドルの支払を決意し、キャラハンが身代金の引き渡しを行う。格闘の末、スコルピオの逮捕と少女の居所を聞き出すが、少女はすでに殺されていた。ミランダ警告を無視した逮捕による犯人の人権保護の理由で釈放。スコルピオは、偽装暴力を演出し、警察の捜査のイメージダウンを図る。エスカレートするスコルピオは、小学生たちの乗るスクールバスをバスジャックする。
Magnum Force (1973) / ダーティハリー2
法の網をかいくぐるマフィアの大物ばかりを狙った連続殺人事件が起こっていた。やがてハリーは交通課所属の4人の新人警官、ジョン・デイヴィス、マイク・グライムズ、フィル・スイート、レッド・アストラカンの存在を掴む。ハリーに正体を見破られそうになったジョンらは、ハリーに協力をもとめるが、拒絶され、逆にハリーの命を狙うようになる。
The Enforcer (1976) / ダーティーハリー3
巡回中の相棒のフランクがガス会社のトラックを奪った一味が計画したハミルトン兵器工場の武器強奪事件に遭遇。一味につかまり、殺されてしまう。殺人課へ戻されたハリーは、市を脅迫する武器強奪犯の捜査を開始するが、刑事に昇任したケイトとコンビを組むことになる。ハリーは、事件の主犯が「人民革命軍団」を自称するボビー・マックスウェルであることを突き止める。ボビーは市長を誘拐して身代金を要求される。
Sudden Impact (1983) / ダーティハリー4
ある男が車の中で股間を銃で撃たれて死亡する事件が発生した。事件を担当したキャラハンは、サンパウロへの出張捜査を命じられる。サンパウロ警察から協力を得られず、孤立したまま捜査をしていると、犬の散歩中に出会ったジェニファー(ソンドラ・ロック)という美しい女性と出会う。彼女こそが連続殺人事件の犯人であり、十数年前に自分と妹を集団でレイプし、妹を廃人に追いやった犯人たちへの復讐が目的だった。
The Dead Pool (1988) / ダーティハリー5
ホラー映画撮影中のロック歌手が、合成麻薬の吸引で死亡する。その後、有名映画評論家らの連続死亡事件が発生し、そのメンバーが映画人の中で行われていた、この1年で亡くなりそうな有名人リスト(デッドプール)による対象者であることがわかる。その中にキャランハンの名前もあり、実際に小型爆弾を積んだラジコンカーでキャラハンの命を狙う事件が起こる。